季節商品の販売戦略
華やかな売上の裏に潜む「季節商品」の罠
通販ビジネスをスタートさせると、まず目が向くのが「季節モノ」です。夏なら水着や浴衣、冬なら手袋やマフラー。これらは検索ボリュームが爆発的に増えるため、初心者の方でも比較的簡単に「売れる体験」を味わうことができます。
しかし、ここにはプロの運用者でも気を引き締める「見えない落とし穴」があります。それは、売れなくなるスピードが、売れ始めるスピードの数倍早いということです。
今回は、私が実際に手袋の販売運用で経験した事例をもとに、季節商品を扱う際の「鉄則」をお伝えします。
実体験:マイナス気温の中で止まった「注文通知」
12月の寒波とともに、私たちが扱っていた「防寒手袋」は飛ぶように売れました。毎日数十件の注文が入り、在庫補充が追いつかないほど。「今年は最高の冬になりそうですね」と喜び合っていました。
しかし、異変は1月の最終週に突然訪れました。
外の気温は依然として氷点下。雪も降っています。しかし、管理画面のアクセス数と注文数は、まるで崖から落ちるように急減したのです。昨日まであんなに鳴り響いていた注文通知が、パタリと止まりました。
「まだこんなに寒いのに、なぜ?」
理由は明白です。ユーザーの心理は、すでに「春」へ向かっていたのです。EC市場における季節の時計は、現実の世界よりも1ヶ月早く進みます。2月になれば、どれだけ寒くても消費者は「今さら冬物を買いたくない。あと少し我慢して春物を買おう」と考え始めます。
この「ユーザー心理の切り替わり」を予測できず、勢いで1月下旬に追加発注をかけてしまったら……。その手袋は、来年の冬まで倉庫の片隅で眠り続け、毎月の保管料を食いつぶす「不良在庫」へと姿を変えてしまいます。
季節商品運用で失敗しないための「3つの絶対ルール」
これから通販を始める方に、これだけは守ってほしい運用ルールが3つあります。
「追加発注」のデッドラインを決める
季節商品は、売り切ることがゴールです。どんなに売れていても、1月に入ったら「今ある在庫で今季を終える」という勇気を持ってください。 「欠品による機会損失」を恐れるあまり、シーズン終盤に追加発注をかけるのが最も危険です。「完売してシーズンを終える」のが、季節商品における最高の勝ち方です。
気温ではなく「検索需要」を追う
「まだ寒いから売れるだろう」という主観は捨ててください。Googleトレンドなどのツールを使い、前年の検索推移を分析しましょう。 例えば「手袋」というキーワードは、例年12月のクリスマスをピークに、1月末には検索数が激減します。この「需要の旬」をデータで把握し、現実の気温に惑わされないことが重要です。
「損切り」のタイミングを逃さない
2月に入って在庫が残っている場合、1円でも高く売ろうと粘ってはいけません。
ポイント倍率を上げる
クーポンを発行する
「在庫処分セール」を銘打つ 利益を削ってでも、2月中に現金化(キャッシュ化)することが大切です。残った在庫を翌年まで持ち越すと、トレンド(流行)が変わり、さらに売れなくなるリスクがあるからです。
結論:ECのプロは「引き際」をデザインする
季節商品の運用は、いわば「波乗り」と同じです。大きな波に乗る力も必要ですが、波が消える前にボードから降りる判断ができなければ、海に飲み込まれてしまいます。
私たち運用代行の仕事は、単に商品をページに並べることではありません。 「いつ攻め、いつ引くか」。 このタイミングをデータに基づいてコントロールし、クライアント様のキャッシュフローを守ることこそが本質です。
「季節ものの商品が、いつ売れなくなるか不安」「在庫の回転率を上げたい」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。データに裏打ちされた、攻守のバランスが取れた運用をご提案いたします。